「人は何らかの目的のために動いている。原因や感情は、そのための道具にすぎない」
この一文に、私の思考は一気にひっくり返されました。
本書『嫌われる勇気』は、アドラー心理学をベースに、対話形式で進んでいく哲学書です。読み進めるうちに、「変われない理由」や「怒りの正体」「他者承認からの脱却」など、心に残る考え方が次々と現れ、私自身も変わっていく感覚を覚えました。
本記事では、私が強く共感したポイントや、印象的だった言葉を、感想を交えてご紹介します。
目次
『嫌われる勇気』で学んだこと:自由に生きるための7つの視点
人は「目的」で動いている
本書では、「怒り」は優位に立ちたいという目的を達成するための手段であると語られます。
つまり、怒ってしまうのは「相手より上に立ちたい」から。
その考えに触れたことで、自分が感情を使ってどう振る舞っているかを見直すきっかけになりました。
争いから降りること、競争をしないこと。そうすることで、信頼は築かれていくのだと感じました。
「変わらない」のではなく、「変わらない」ことを選んでいる
人は変わらないのではなく、「変わらない方が楽」だと感じて、それを選んでいる。
この気づきは、何かに挑戦しようとするとき、自分自身のブレーキの存在に気づかせてくれました。
変わるためには、ただ「よりよく生きるために変わる勇気」を持つだけでいいのです。
勇気づけとは「援助」である
アドラー心理学の特徴的なアプローチは「勇気づけ」です。
赤面症の女学生の例が印象的でした。彼女は「赤面症が治ったら、好きな人に告白する」と話しますが、実は「告白して振られるのが怖い」という気持ちが背景にあります。
その目的を達成するために、赤面症という手段を使っているのです。
このようなとき、アドラー心理学では「いまの自分」を受け入れてもらい、そこから一歩踏み出す勇気を引き出すことが大切だと説いています。
あくまで課題の分離を行い、決定は相手に任せる。これが介入ではなく、援助なのだと感じました。
自慢は劣等感の裏返し
「自慢したくなるのは、自信がないから」
本当に自信がある人は、あえて言葉に出したりはしません。
「認めてもらえないことが怖いだけ」
それは、不幸自慢も同じです。
「こんなことがあったから、自分は動けない」と語ることで、「可哀想だから優しくして」と思ってしまう。
そんな承認欲求に気づかされたことは、私にとってとても大きな学びでした。
他者からの承認は必要ない
「他者に認めてもらわないとやる気が出ない」
この考え方は、他人の人生を生きているということです。
自由とは「嫌われる勇気」を持つこと。
自分に正直に生きるためには、他者の承認を求めない強さが必要です。
「わざわざ嫌われにいく」のではなく、「変えられるのは自分だけ。相手は自分の影響の外にある」
この考え方に、心がスッと軽くなりました。
対人関係のゴールは「共同体感覚」
共同体とは、この世界のすべて。
「課題の分離」を行ったうえで、他者とのつながりを大切にする。
そのためには「自分ではなく、周りに関心を向けること」が大切です。
他人に何を与えられるか。
その関わりの中で、自分の所属感を自分自身でつくっていくことができるのです。
横の関係と勇気を与える言葉
- 縦の関係:「○○しなさい」「えらいね」
- 横の関係:「ありがとう」「助かったよ」
この違いを理解してから、人との距離感が変わりました。
人は「自分に価値がある」と思えたときに勇気を持てる。
それを与えるのが、「ありがとう」「助かったよ」「すごい」という言葉なのです。
【まとめ】|人生を変える気づきがここにある
『嫌われる勇気』で語られていた「共同体感覚」を持つために、以下の3つが必要だと学びました。
- 自己受容:「肯定」しなくていい。「受容」でいい
- 他者信頼:条件付きの信用ではなく、無条件の信頼
- 他者貢献:自分を犠牲にするのではなく、他者に貢献することで自分も幸せになる
幸福とは、「貢献できている」という感覚。
「今ここ」を真剣に生きることが、シンプルだけれど本質的な生き方なのです。
【共感した言葉】印象的だった名言まとめ
- 「もしも何々だったら」と可能性の中に生きているうちは、変わることはできない
- 「変わらない」のは、「変わらないという目的」を選んでいるだけ
- 誰とも競争しなくていい。健全な劣等感とは「理想の自分」との比較から生まれる
- 「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」=自分を変えられるのは自分だけ
- 叱っても、ほめても、縦の関係になる。横の関係とは「同じではないが対等」であること
- 「私は他者にとって有益な存在なんだ」と思えることが大切
- 優越性を誇示する必要はない。普通であっていい
- 導きの星を見失わなければ大丈夫。導きの星とは「他者貢献」である
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